ちば聞き書き隊とは?
みなさまへ
いろいろな方のお話を聞き、それを文章に書き記す。
それが「聞き書き」です。
昨年11月、千葉市女性センター(現:千葉市男女共同参画センター)が主催した「聞き書き実践講座」で講師を務めさせていただき、このときの受講生有志とともに、この度「ちば聞き書き隊」を発足させました。
わたしたちは
ご年配の方々にこれまでの人生や思い出をうかがい、文章にし、冊子を作って進呈する、聞き書きボランティア活動
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千葉を中心に、さまざまな分野で活躍される方々、魅力あるスポットを取材し、当HPで情報発信を行う
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インタビューをしてその内容を文章にまとめるには、「経験を積む」つまり場数を踏むことが必要です。皆様にご協力いただき、「聞く」技術、「文章を書く」技術の向上を図る所存です。顧問に聞き書きの第1人者である作家・小田豊二氏をお迎えしました。現在、定期的に行っている「ちば聞き書き塾」のほか、聞き書きボランティア養成講座の開催も予定しております。
聞き書きをしてほしい、聞き書きをやってみたい、というみなさまを心からお待ち申し上げております。
2011 6月吉日 主宰 フリーライター 野口いずみ
聞き書きとは?
聞き書きとは、なんでしょう?
聞き書き作家 ちば聞き書き隊顧問 小田 豊二
「聞き書き」って、耳慣れない言葉でしょうね。
でも、実は、いま、全国各地で実践され、実際にやった人たちから大変に喜ばれている「技術」なのです。
「技術」と言ったって、むずかしいことはありません。
なにしろ、「聞いて」、「書く」だけですから。
たとえば、千葉の、とある港町に、ひとりの大ベテランの漁師さんがいらしたとしましょう。
じいちゃんは、もう何十年も漁に出ていますから、それこそ海のことならなんでも知っています。でも、この人のことは誰もよく知りません。
「誰か、あのじいちゃんに海のことを聞いておくといいんだけどなあ」
誰もが、そう思っていた矢先、この方が亡くなってしまいました。すると、どうでしょう。このじいちゃん、海のことだけじゃなく、ご自分の生い立ちも、子供の頃の思い出も、地元の方言も、知恵や地域のしきたりも何もかも持って、逝ってしまったことに、まわりの人は気づいたのです。
「ああ、じいちゃんに聞いておけばよかった」
家族だけでなく、多くの人々がそう思いました。
※
地域のお年寄りがひとりお亡くなりになると、文庫蔵がひとつ消えたようだ、と昔の人はよく言ったそうです。文庫蔵とは、いまの図書館です。
じいちゃんは、地域の図書館だったのです。それが消えた……。
※
「聞き書き」は、誰にでもできます。難しい文章作法や作文の技術は入りません。語り手がしゃべった言葉をそのまま書き残せばいいのです。
しゃべり言葉で書くと、その人の口癖や雰囲気がよくわかりますから、読み返してみるだけで、知っている人は、その人の顔が浮かんできます。小冊子にまとめれば、亡くなったあとでも、懐かしく思い出すことができるのです。
語り手は、お年寄りばかりではありません。小さなお子さんの成長をしゃべった言葉で記録することもできますね。
※
そうそう、ひとつ、大事なことを忘れていました。
「聞き書き」の楽しさは、聞き手がとても学べることです。「へえ、そうなんだ、知らなかった」ということが次々と語り手の口から飛び出してきます。ですから、聞き手も楽しくなるのです。
そのうえ、語り手がお年寄りだと、聞いていくうちに記憶をどんどん取り戻しますから、お年寄りの認知症防止にも役に立ちます。
まず、家のおじいちゃん、おばあちゃんの昔話からはじめてみませんか。
「おじいちゃん、運動会って、裸足で走ったって、ほんと?」
「おばあちゃん、おじいちゃんとのはじめてのデート、どこに行ったの?」
きっと、お年寄りの顔がほころびますよ。
誰でもできる「聞き書き」、はじめてみませんか?
小田豊二氏の著書